母島のソーラーパネルの課題について

2024.6.13 一般質問

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【宮城ジャイアン】

 現在、母島では村と都と東電で行っているソーラーパネル施設の設置工事が進んでいます。設置の説明会や議員報告会等ではせっかくの自然の景観が損なわれる事への懸念、台風などの災害時に飛散や破損による火災などの心配の声が挙がっています。

さらに、鹿児島県伊佐市のメガソーラー(大規模太陽光発電所)で今年の3月27日に火災があり、感電の危険があり、20時間ほど消火作業ができず、消防隊員4人が負傷したと報道されています。

これは太陽光発電所の安全管理に不安を残す状況と考えていますが、母島で工事中の施設での火災などによる対応指針はどのようになっているのでしょうか?

 

 

(渋谷村長)

宮城議員の現在母島で行われています、母島再生可能エネルギー100%実証事業の事業の中でのソーラーパネルの設置の課題につきましては、個別具体的な内容となりますので、担当課長に答弁させます。

 

(石原環境課長)

宮城議員からの母島で建設が始まっております、母島太陽光発電設備関連の課題についてお答えいたします。

まず景観への懸念があるとのことですが、太陽光発電設備の周辺からの近景については、目隠し用に植栽など緑地帯を設ける配慮を行うこととなっております。

また海からの眺望に関しては、全く見えないということはございませんが、パネルすべてに低反射パネルを採用することから目立ちにくく、景観への影響は極めて限定的なものと考えております。

次に、災害時の火災や、消火活動における危険へのご心配につきましては、万が一の火災などに備え、東京電力パワーグリッドに対して、電気火災用の化学消火器や絶縁手袋などを発電所に常備すること、さらには地元消防団との勉強会や共同訓練の実施をお願いしているところです。

 

また、消防団員の安全確保の観点から、消火活動において、噴霧放水や放水の際に一定の距離を確保するなど、安全な消火活動の留意点について、消防の所管である総務課とも連携しておりまして、今年度内には整理してまいりたいと考えております。

さらに、仮にパネルが飛散した場合ですが、パネル単体から発する電圧値は最大で約40ボルトと一般的には感電リスクが少ない値であることは確認をしております。

また、パネルからの出火可能性については、常時監視体制に加えて、接続端子の出火防止対策も万全を期しており、基本的にはないとの認識ではあります。

加えて、万が一接続端子の劣化などにより発熱したとしても、枯草など燃えやすいものが接触することがないよう、草刈りを含む施設の保守点検、管理なども徹底されるものと事業者より聞いております。

 

なお先ほど、鹿児島県伊佐市の事例についてご質問で触れられておりましたが、この事例はリチウムイオン電池を置いた倉庫が爆発したものと認識しております。火災の状況に応じては、施設が燃え尽きるまで放水による消火活動は行わずに、延焼を防ぐのみといった対応も考えられると思われます。

このように、各地における火災の事例については、様々な事由によって起きているものと想像しますが、まずは消防関連法令に基づく対応が重要であり、本実証事業におきましても、例えば蓄電池棟は法令に基づく強固な構造にするなど安全対策は十分に講じられているものと確認しております。

 

【宮城ジャイアン】

先日も都庁の方で東電、村、都としっかりとミーティングを行いました。

その時にもお伝えしましたが、すでに工事が始まっている母島に向けては、災害や事故の時の対応に向けても、ぜひ早急に対応していってほしいです。

ソーラーパネル由来の火災なども、対策は万全と考えていても、想定を超える台風による損壊で枯草がある場所など可燃物付近に飛散し、接続端子から引火する可能性も踏まえて、十分に対策を取り、それらを示してほしいと思います。

 

 また、大規模な風力や太陽光システムについては、新島でも実証事業が行われていたようですが、現在はあまり稼働していないと聞いています。執行部は他の島しょの再生可能エネルギー導入の取り組みについて把握していますか。

 

(環境課長)

 今新島での実証事業での質問がありました。新島村におきましては、平成29年度より、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が再生可能エネルギーを導入した系統運用の実証試験を実施しているものと承知しております。

 2年間の実証試験を終えて、再生可能エネルギーの予測精度向上など一定の評価が得られているようですが、設置された設備については、実証試験終了後、将来的な維持管理コストなども考慮し、風力発電設備については撤去されているようです。一方で、太陽光発電設備については新島村や東京電力に譲渡され、引き続き防災用などに運用の中で有効活用されているものと聞いております。

 他地域、島嶼の事例については、引き続き情報収集に努めたいと考えております。

 

【宮城ジャイアン】

ありがとうございます。

また、現在絶滅の危機に瀕している母島列島のオガサワラカワラヒワ確認による中ノ平地区の工事ですけども、オガヒワ保全の為に今期は行わない方針であると聞いていますが、今後の中ノ平地区のソーラー施設建築の予定、それに伴う静沢分譲予定地の仮設住宅の撤去期間などはどのように考えているのでしょうか。

 

(環境課長)

 村有地である中ノ平自立支援農業団地研修圃場の一画につきましては、Cサイトと呼ばれ、本実証事業のパネル設置候補地の一つとなっております。このCサイトに対しまして、希少種であるオガサワラカワラヒワの餌場として利用されていることが指摘され、生息地の消失につながらないよう十分配慮しながら検討を進めるべきとの専門家からのご意見を踏まえ、現在は、このCサイトの着工については保留となっているところです。

 本実証事業における効果を十分に発揮するためにはCサイトは重要な候補地でありますが、工事着工については、各専門家から意見を聞く議論の場を設けており、母島列島全体でのオガサワラカワラヒワの個体群の状況を見極め、専門家の方からのご意見を伺いながら着工のタイミングを判断することになろうかと考えております。

 

 また、本実証事業工事のための仮設事務所や仮設宿舎用地として、現在静沢分譲予定地の土地の一部を東京電力パワーグリッドに対して令和7年6月末まで貸し付けをしております。Aサイトにおけるアカガシラカラスバトの営巣確認などによる工事の遅れなどから多少の貸付期間の延長はある予定ですはございます。仮にCサイトの着工時期が連続して可能となった場合でも、Cサイトの工事のみであれば仮設宿舎が必要なほどの作業員は必要ないと聞いております。

つまりは、静沢の貸付地とは切り離して考えているため、このことによる静沢分譲地計画への影響はないものと考えております。

 

【宮城ジャイアン】

分かりました。この住宅難において、静沢分譲地計画へ影響がないという事はとても大切な部分と思います。今後ともコミュニケーションを取りながら、対策、対応をよろしくお願いします。